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ステロイドというぬり薬はこわいですか?2008年01月31日 05時16分23秒

「えっ!ステロイドですか?使いたくないんですけど」
「こわいって聞いてますから、いやです」
「ほらっ、ステロイドってこわいでしょ」
皮膚科ではよく「ステロイド」というぬり薬を使う。
毎日、たくさんの患者さんに使う。
皮膚のいろいろな病が劇的に治るようになったのが
この「ステロイド外用薬」だ。
いったいどんな薬か?
一言で言うと
「皮膚の中で働いている、過剰な反応を抑えこんでしまうお薬」だ。
皮膚には細菌やウイルス、つまり「よそモノ」を排除しようとする強烈なシステムが備わっている。
それを「免疫」という。
この「免疫」というシステムを一時的に止めてしまう、弱くしてしまう薬がこの「ステロイド」だと思ってよい。
だからステロイドを外用すると、そこの皮膚は抵抗力が弱くなり、カビ(ミズムシ)やバイキン(トビヒなど)などが入りやすくなる。
また皮膚それ自体が弱くなり、長期間つけていると皮膚の厚みがなくなり、うすくなる。
なんだ、やっぱり悪い薬じゃないか!と思うでしょ。
ところが皮膚の病気は実は上記の「免疫」が過剰になり生じる。
その代表的なものが、、、
「かぶれ」
だ。
「かぶれ」、、カッコよく言うと「接触皮膚炎」と言う。
この接触皮膚炎、ウルシのかぶれ、化粧品のかぶれ、毛染めのかぶれ、などなど、日常生活ではショッチュウ生じる。
皮膚の免疫が「過剰」な状態で、猛烈に痒くなり、夜も眠れない。
そんなとき、この過剰な「免疫」を止めて、皮膚を正常に戻す役目を果たすのが、「ステロイド外用薬」だ。
あまりにひどいときはステロイドの内服もする。
なんせステロイドを使うとこの接触皮膚炎、劇的に治る。
ただ、注意しなければならないのは
「いつまでもダラダラ使わないこと」
症状が治っても使い続けると
ステロイド外用の副作用がでてくる。
そう!
皮膚がうすくなったり、カビや細菌の侵入を招いたりだ。
だから、ある程度よくなったら、さっさとやめる。
これがステロイドの正しい使い方なんだな。
ステロイド外用を長期的に使わざるをえないアトピー性皮膚炎などのときは
ステロイド外用と保湿剤をうまく組み合わせてコントロールしている。
ステロイドは「劇薬」だ。医師の指示通り使えば
ものすごくいい薬なんだが、使い方を誤るといろんな副作用がでてくる。
だから「ステロイドはこわい」という患者さんの言葉はよおくわかる。
自己判断で使うと「こわい薬」
医師の指示でうまく使うと「良い薬」というわけなんだな。

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